ズワイガニ その1

北陸の福井といえば『越前ガニ』です。そのお味は『繊細』の一言に尽きます。ほんのりと甘味を感じる越前ガニは、お刺身で食べるとトロリとした食感がまたたまらい食感で、焼いて焼カニとしても香ばしく冬の味覚の王様ともいえるほど、存在感あふれる食材です。

そして『越前ガニ』は越前で水揚げされるブランドの蟹です。大きく蟹の種類で分けるならば、ズワイガニです。ズワイガニは、深海に生息する大型な蟹です。

ズワイガニの形態

体色は全身が暗赤色をしています。甲は膨らみがある三角形で、鉗脚(第一胸脚)と第5胸脚は短いのですが第2~ 4胸脚が長てく、大きなオスが脚を広げると70cmほどになります。オスの甲幅は最大14cmほどですが、メスはその半分くらいの大きさです。メスは性成熟すると脱皮を止めて、短期間に産卵、抱卵、幼生放出を繰り返すので成長しなくなります。日本産の個体群は歩脚の長節が長いので、亜種C. opilio elongatus Rathbun, 1924 として分類する見解もあります。

ズワイガニの「ズワイ」とは、細い木の枝のことを指す古語「楚(すわえ、すはえ)」が訛ったものから付けられていると言われています。。漢字では「津和井蟹」とも書かれています。

オスとメスの大きさがあまりに違うため、漁獲される多くの地域でオスとメスに別の名前がつけられています。

ズワイガニのオス

  • エチゼンガニ
  • マツバガニ
  • ヨシガニ
  • タイザ(タイザガニ)

ズワイガニのメス

  • メガニ
  • オヤガニ
  • コッペガニ
  • コウバコガニ
  • セコガニ
  • セイコ(セイコガニ)
  • クロコ

ズワイガニの生態

山口県以北の日本海と、茨城県以北からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布しています。水深は 50~1,200メートルほどの砂泥底に生息していますが、おもな生息域は水深200~600メートルほどの深海です。水温は0 ~ 3度程度の水域を好んで生息しています。

食性は雑食性ですが肉食が強くなっていて、貝類や多毛類などを捕食しています。また、海底に落ちた魚介類や海洋性哺乳類などの屍骸、脱皮した自分自身の殻も食べます。産まれてから親ガニになるまでに約10年を要していて11齢で漁獲可能サイズの90mmを超えることになります。最終齢からは4年程度生存します。最終齢までは脱皮すると損傷した足は再生します。

産卵期は、初産6 ~ 7月、経産2 ~ 4月になっています。深海域に生息しているため、脱皮、季節移動、寿命など生態の解明は十分におこなわれていませんが、オホーツク海での調査では、脱皮は春で季節により生息域が変化して、雄雌で生息水深が異なっていました。

交尾後に産卵された卵は、抱卵され(腹節の内面にある腹肢に付着)1年から1年半経過すると、孵化してプレゾエアとなって放出されます。放出後に、親は短期間で再び産卵するとされています。従って、成熟した雌は生涯の殆どの期間つねに卵を抱いている状態です。また、1回目の交尾のときの精子は、雌の体内にある貯精嚢(受精嚢)に保存されて少しずつ使用されます。 飼育実験によると、ゾエア幼生からメガロパ幼生期の適正飼育水温は9 ~ 14度程度、100日から120日で稚ガニとなり着底します。 2003年に若狭湾で行われた調査によると、雌ガニは66,000粒程度の卵を抱いて、放出します。放出数は高齢のカニほど減少する事が報告されています。

近い種類など

ズワイガニ(オピリオ)

本種です。日本海、オホーツク海、カナダなどで水揚げされていまする。別名本ズワイガニと呼ばれていて、この品種のズワイガニを全国各地で地域ブランドとして販売して地域活性のご当地グルメとしています。身は中程度で甘みが一番あるといわれています。

オオズワイガニ(バルダイ)

ロシア東岸のものがバルダイであることが多いとされています。身が大きくて甘みがあるのが特徴で、主にかにしゃぶなどに用いられています。

ベニズワイガニ (ベニズワイ、紅ズワイガニ)

日本海、北朝鮮、ロシアなどで水揚げされています。主にズワイガニよりも水深の深い場所に生息するといわれていて、足、胴の腹面含めて全体に暗褐色になっています。加熱すると全体が鮮やかな紅色になります。オピリオ・バルダイと比較すると殻が幾分柔らかくて薄いです。身が少なめで比較的安いということもあって、缶詰の材料にも多用されています。

加熱すると身が縮みやすいのですが、生の身は甘みが強くて、しっかり身の入った紅ズワイの刺身はバルダイ、オピリオ以上に美味しいと言う人もいます。

香住では香住漁港で水揚げされた紅ズワイガニを香住ガニとしてブランド化しています。本種は、1906年(明治39年)にアメリカ合衆国の海洋調査船アルバトロス号が日本海の佐渡沖水深960mで採集した1匹の個体によってアメリカの海洋生物学者のメアリー・ラスバンが1932年(昭和7年)に記載しました。

その当時は、日本では本種の存在すら知られていませんでした。1950年(昭和25年)になって但馬沖で採集された11個体に対して、山本孝治によって「ベニズワイガニ」という和名が与えられました。ちないに、富山湾では1941年(昭和16年)から「赤ガニ」の名称で、刺し網で大量に漁獲されています。現在ではは山陰沖が主要な漁場になっています。資源保護の目的で、当初から雌ガニは捕獲禁止となっています。

その他

紅ズワイガニとオピリオの雑種、オピリオとバルダイの雑種などが確認されていて、ハイブリッドと呼ばれることもあります。

あわら温泉で蟹食べよう